人間が創造した「化学」が大自然に猛威を与えて、人類の行く末を脅かす。廃棄プラスチックが海洋に漂い、山間には膨大な廃棄フィルムが山積みされる。我々はこれを放置していて良いのだろうか?
 

人間生活から廃棄されるプラスチック類が、海に流出して生態系破壊や人体への健康被害、沿岸部の経済社会へのダメージ等を引き起こしはじめた。海洋プラスチック廃棄量については、2015年に学術誌サイエンスが年間 800万トンと推定して、以後、国際機関や各国政府もこの統計を基準としている。しかしこの計算は2010年のデータを基にしたもので、8年経った現在はこれより遥かに増えている可能性が高い。また、プラスチックは海水で溶解しないから、これらが累積して想像を絶する量のものが海底に沈降したり波に漂ったりしている。
 
マイクロプラスチックの恐怖
海洋を漂う廃棄プラスチックは、紫外線や熱の変化で劣化して波浪によってさらに小さく寸断され、海中を浮遊(マイクロプラスチック)するが、これが数年も繰り返されるとミクロン単位の化学物質へとなってしまう。微細化したプラスチックを動物プランクトンが餌と認識して食べ、さらに小魚が動物プランクトンを食べる。この魚をマグロやクジラのような大型生物が食べて、さらに、排泄物に混ざったプラスチックを貝やエビなど海底生物が食べる。
こうして海の生物全体にマイクロプラスチック汚染が広がっていく可能性を、東京大学海洋アライアンスが指摘し、またマイクロプラスチック汚染の進行状況については九州大学磯辺篤彦教授による調査で年次明らかになっている。その結果、日本の周辺海域の海水に含まれるプラスチック濃度は世界平均値の27倍にまで達していると報告されている。
プラスチックを食べるということは、栄養成分として吸収されずに消化器官に蓄積するということなので海の生態系全体が栄養失調になり、絶滅への道筋を辿ることになる
 
処分方法で苦慮する自治体
海洋を漂うプラスチックや木片(上)が年間15~20万トン、日本の砂浜に打ち上げられている。これを砂浜の管理者である自治体やボランティアが拾い集めて焼却処分しなければならないのだが、現実には、塩分が付着していることから焼却できる処理場は少なく、ダイオキシン汚染が広がる心配をしなければならない
ダイオキシンは焼却炉から大気中に放出され、土壌や河川、海洋の環境を汚染しながら、地域の動植物に取り込まれる。発生したダイオキシンの多くが、地域で収穫される農業水産品に混ざって、広く居住者の体内に入り込んでゆく(参照:癌発症のメカニズム)。
海洋プラスチック憲章
18年6月に、カナダのシャルルボワで開催されたG7サミットでは、海洋プラスチック問題に対応するため世界各国に具体的な対策を促す「健康な海洋、海、レジリエントな沿岸地域社会のためのシャルルボワ・ブループリント」を採択する運び(下)となったが、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国とEUは、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に署名した。
この憲章は、海岸でのごみの回収活動に加えて、不必要な使い捨てプラスチック製品の削減、2040年までのプラスチック容器のリサイクル率100%達成など、プラスチックごみの削減に踏み込む発生源対策を世界規模で促進するための行動宣言だが、残念ながら米国は署名せず、また国内に廃プラ問題を抱える日本も署名を見送った。
 
海洋プラスチックの発生源
右上に、海洋廃棄プラスチック量の世界ワースト8を羅列したが、そのうちの1~4位そして8位に日本に関連するアジア諸国がリストアップされた。この膨大な海洋プラスチックがミクロ化し、日本海流(上図緑色の矢印)に乗って半永久的に日本に漂着すると見られている。これから観て、世界で日本がもっとも多くのマイクロプラスチック被害を被るということになる。
上右に図示した数値は海岸線から50km圏内に発生する廃棄プラスチック数量(処理施設が完備してないと見られる地域)である。このうちの多くが写真(インドネシア)のように川に集積され、押し出されるように海洋へと流出していく可能性を否定はできない。 
結論として、日本の海を護るには中国・インドネシア・フィリピン・ベトナム・マレーシアの廃プラ海洋流出を抑制しなければならない。 


国内の廃棄プラスチック問題


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美しい海をどうやってまもる?
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