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ビタミンDとエルゴステロール

  骨形成やカルシウム代謝に関係しない臓器細胞にも、ビタミンD受容体があることが分かった。受容体とは、細胞外壁に付着した電気のコンセントのようなもので、ビタミンDが様々な細胞に付着することで、細胞増殖や分裂、アポトーシス制御、免疫調節など生体機能に関与することが明らかになってきた。
さらに、癌細胞にもビタミンD受容体が存在していることが明らかになって、ビタミンDにも癌細胞の増殖抑制やアポトーシスを誘導する効果があることが証明されている。特に膵臓の星状細胞には、ビタミンD受容体が他の細胞よりも密にあることが発見され、これによってビタミンDが膵臓癌の特効成分としてクローズアップされ始めた

エルゴステロールは酵母菌やバッカク菌(冬虫夏草も属する)に含有されている薬理成分で、冬虫夏草の菌糸細胞膜に含まれる成分である。紫外線をあてるとビタミンDに変化することから、ビタミンDの前駆成分という見方もある。
愛媛大学医学部が行ったエルゴステロールをマウスに経口投与する試験では、移植した肉腫の増殖速度が急激に低下することから、エルゴステロールには癌細胞を殺す作用はないものの、腫瘍の血管新生を阻害する作用が有ることが分かった。
冬虫夏草はビタミンD、エルゴステロールともに豊富に含有していることから、抗癌活性を有すると考える。
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エルゴチオネインと活性酸素

  エルゴチオネインとは、冬虫夏草や「つくし茸」などの菌類や一部の細菌が合成する成分で、含硫アミノ酸(硫黄を含有するアミノ酸)の一つである。水に溶解し高熱や酸にもほとんど影響を受けないことから、どの様に料理しても変わらない薬理効果が期待できる。体内で二次生成することができないため、食物から摂取して肝臓・腎臓・赤血球・皮膚などに貯蔵される。
抗酸化作用がビタミンEの7000倍ともいわれており、活性酸素によって肝臓、腎臓、皮膚に発生するDNA損傷(癌・老化の原因)や過酸化脂質の生成を防ぎ、抗炎症作用、細胞エネルギー増進作用、抗ストレス作用などの機能性を有すともいわれるように、多機能な成分である。
生体内メカニズムは、腸から吸収され血管を通じて各臓器へ運ばれ、OCTN-1という体内トランスポーター(運び屋)と結合して、臓器細胞内に深くに取り込まれ、摂取2週間後には肝臓や腎臓のほかに骨髄、心臓、肺、皮膚、脳まで届くことが研究によって分かってきた。

皮膚に貯蔵されたエルゴチオネインがシワやタルミの原因となるエラスターゼの働きを阻害し、また、シミやソバカスの原因となるチロシナーゼの働きをも阻害するといわれている。エラスターゼとは、肌のハリを保つために必要なエラスチンを寸断分解する悪玉酵素で、エルゴチオネインがエラスターゼの活性を阻害することから、肌のハリを回復させたり維持することに繋がるという。
さらに、シミやソバカスの原因であるメラニンを生成するチロシナーゼという悪玉酵素の活性も、エルゴチオネインが阻害するといわれている。

その他にも、頭皮に貯蔵されたエルゴチオネインが薄毛や円形脱毛の防止や修復に役立つ可能性も指摘されています。これは、毛根組織に侵入する顔シラミの廃棄物や整髪料に含まれる化学物質を異物とみなた免疫細胞が、活性酸素で攻撃して毛母細胞まで傷つけてしまう自己免疫疾患によって引き起こされるのが原因といわれています。この害をエルゴチオネインの強い抗酸化力でブロックするということなのでしょう。
またこれと同じ原理で、紫外線など強烈な光線がもたらすダメージから、眼球を守る働きがあることも分かってきました。
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癌細胞を駆逐する冬虫夏草の成分(3)

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