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骨形成やカルシウム代謝に関係しない臓器細胞にも、ビタミンD受容体があることが分かった。受容体とは、細胞外壁に付着した電気のコンセントのようなもので、ビタミンDが様々な細胞に付着することで、細胞増殖や分裂、アポトーシス制御、免疫調節など生体機能に関与することが明らかになってきた。
さらに、癌細胞にもビタミンD受容体が存在していることが明らかになって、ビタミンDにも癌細胞の増殖抑制やアポトーシスを誘導する効果があることが証明されている。特に膵臓の星状細胞には、ビタミンD受容体が他の細胞よりも密にあることが発見され、これによってビタミンDが膵臓癌の特効成分としてクローズアップされ始めた。
エルゴステロールは酵母菌やバッカク菌(冬虫夏草も属する)に含有されている薬理成分で、冬虫夏草の菌糸細胞膜に含まれる成分である。紫外線をあてるとビタミンDに変化することから、ビタミンDの前駆成分という見方もある。
愛媛大学医学部が行ったエルゴステロールをマウスに経口投与する試験では、移植した肉腫の増殖速度が急激に低下することから、エルゴステロールには癌細胞を殺す作用はないものの、腫瘍の血管新生を阻害する作用が有ることが分かった。
冬虫夏草はビタミンD、エルゴステロールともに豊富に含有していることから、抗癌活性を有すると考える。 |