8 ミネラル(亜鉛とセレン)
小腸には腸絨毛と呼ばれる栄養成分を吸収する器官が有り、その表面にも同じように、微絨毛という器官が密集している。これら臓器は腸内細菌によって分解された成分や二次代謝生成物を漉しとって血液中に取り込む(消化)。
ところが、食品添加物に使用される化学物質や残留農薬に含まれる重金属は、絨毛の谷間に入り込んで蓄積してしまう。それはまるで高級なペルシャ絨毯に砂を撒いたように、年を重ねる度にギッシリと溜まってしまう。この状態を「腸の老化」というが、これら異物がビッシリと詰まった小腸は、消化活動が減少するので栄養吸収が悪化する。
さらに絨毛の谷間には、絡みついた異物を外敵とみて攻撃するキラーT細胞が増加し、異物のみならず周辺の細胞にまで活性酸素による攻撃を加えてしまう
異物が接した上皮細胞にダメージ(慢性拒絶)を与えるこの自己防衛システム(免疫)は、上皮細胞内の遺伝子に損傷をおわせ、結果的に代謝によって消滅すべき古い細胞がアポトーシス(プログラムされた細胞消滅)しない異常事態となり、この細胞群が次々と出現して悪性腫瘍となる。
免疫細胞が集積している小腸では悪性腫瘍は成長せず、微絨毛から脱落した一部が腸内に取り込まれて、血液によって体内に広がり癌化を進行させる。これが、癌発症のメカニズムなのだが、ここで重要になるのが亜鉛とセレンの存在である。 

異物を押し出すもう一つの要因である腸液の正常分泌には、亜鉛の存在が不可欠である。腸液は小腸絨毛の上皮細胞より分泌される消化液で、食餌に応じてペプチダーゼ、インベルターゼ、マルターゼ、ラクターゼ、エレプシンなどの多様な消化酵素を含んで分泌されている。これらの酵素は「食餌を細分化する」「栄養成分として仕分ける」「栄養成分ごとに区分して腸壁内に取り込む」「残渣を廃出する」という作業を担っているので、亜鉛が欠乏すると酵素生成が困難になる。
腸液の分泌量は正常なら1日におよそ2リットルであるが、食べる量や回数、栄養成分の有無によっては半分になることもある。また、酵素の数多くが亜鉛によって構成されるか、或いは亜鉛が関与して形成されているため、亜鉛の摂取不足または欠乏によっても腸液分泌が不足することになる。
腸液が正常に分泌していると、絨毛の間に落ち込んだ異物を押し流すことが出来るので、癌の要因となる異物を速やかに大腸へと送ることが出来る。

セレンと遊離アミノ酸(単体になったアミノ酸)で構成されるグルタチオン酵素(またはセレン酵素)は、腸絨毛に絡まった異物を攻撃するキラーT細胞の、活性酸素による慢性拒絶を防ぐことから癌細胞の生成を抑制する働きをする。また、セレンには癌細胞を破壊して破壊する作用はないものの、癌細胞のシグナル伝達に反応して細胞増殖を抑制しアポトーシス誘導をする効果があることが分かってきた。
特に、セレンが貯蔵される前立腺にはセレン受容体を持つ細胞が多いことから、セレンが不足することによって前立腺癌を発病するリスクが高まることも分かってきた。
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