腎虚について 40代後半から50代にかけて、突然と襲ってくる身体の異常があります。 めまい・耳鳴り・ED・関節痛・どうしようもない不安感と不眠、中国ではこうした症状を「腎虚」と云いますが、これらの状態について解説をしてみましょう。 腎虚を漢字から判断すると、腎臓の障害と思いがちですが、そうとは限りません。 中国思考の根本を担う五行思想でいう「腎」とは「水」であり、身体の中で水に関する機能、すなわち「尿」に関連する器官の障害を指したものと思われます。 その器官とは、尿回路にあたる腎臓・尿管・膀胱・尿道・陰茎からなり、これに付随する副腎と生殖器、男性の場合には前立腺も含む、これらの異常を総じて腎虚と云います。 腎虚の原因は血液の汚れ 腎虚になる大きな原因は、前述した臓器や器官を巡る血液の汚濁と循環不良に端を発します。 まず、腎臓は血液を濾過して老廃物・余剰水分・塩化物など生体活動で不要となった物質を体外に排出する臓器ですが、その構造をみると、コップ2杯ほどの個体に240万個もの「腎小体」と呼ばれる濾過装置があって、その一つ一つには「糸球体」と呼ばれる毛細血管がぎっしりと塊になって詰まっています。 代謝によって廃棄されるべき物質は血液に取りこまれて糸球体に集まり、不純物質と余剰水分は糸球体から「ボーマン嚢」と呼ばれる受け皿に押し出され、小便となって体外に排泄されます。 これら膨大な毛細血管に、腸の変敗物質から形成された不純物質や悪性コレステロールが付着してしまうと、生体は血圧を上げてでも濾過し排泄しようと力むのですが、それでもなお血流が滞ると、糸球体が次々と壊れて機能停止になってしまいます。 こうして60%の糸球体が血流不能になった状態を「腎不全」といいますが、こうなると廃棄物質の血中濃度が高くなるから、肝心の代謝までも停滞して腎虚に陥るようになります。 |