「耳鳴りがしたらスイカを食べよ」という言い伝えがあります。これは正しいのか誤りか、スイカの採れない時期は何を食べればよいかなど「食事革命」について検証してみました。
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耳鳴りをさらに詳しく解説
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耳鳴り(めまいを伴う)といえばすぐにメニエール病だと思われがちですが、実際にはまだメニエール病に罹ってるわけではありません。中国薬学では、偶発的に発生する耳鳴りやめまいを腎虚と呼んでいます。
これは読んで字のごとく、腎臓に貯蔵されるべき栄養成分(亜鉛、セレンなどのミネラルと遊離アミノ酸)が少なくなったことに対する体内からの警告です。昔から「耳鳴りがしたらスイカを食べよ」という言い伝えがあります。そこでスイカの栄養成分を調べてみると、腎臓に補給されるべきシトルリンというアミノ酸が豊富に含まれていることが分かり、よってこの説は的を得ているのではないかということになりました。
 
耳鳴りという警告を放置すると重病になる
偶発的な耳鳴り、めまい、肩凝り程度の変調なら、まだメニエール病に罹ったわけではありません。これらの変調の原因は、内耳の働きのちょっとした不具合にあります。第一に考えられるのが、内耳空間や器官内部に満たされている内リンパ液や粘液の劣化です。原因としてあげられるのが、栄養不良、運動不足、睡眠不足、そしてストレスなどによる体液の代謝(古い体液を新しく入れ替える)不良です。
近代医学が推測しているメニエール病の原因は、内耳を満たしている内リンパ液が感染などの影響で過剰になり、内リンパ水腫(すいしゅ)を発症する(後記)からではないかということですが、詳しいメカニズムについては今だに不明だということです。
女性のメニエール病は耳鳴り、めまいに生理不順、若年閉経、不妊、未熟児出産、流産、早産、肥満などが加わって、精神的にもヒステリックな状態が続きます。
それでは以下で内耳器官のメカニズムを参考にしながら、耳鳴り(めまいを伴う)の原因について詳しく探ってみましょう。
上図(青色部分)は耳の構造です。中央部の鼓膜より右の部分は「内耳」という器官になっていて、身体に感じる様々な動向を感知しています。
このうちのもっとも上に位置する3つのリング状の器官を「三半規管」といい、その根元の卵型の部分を「前庭」といい、右方にあるカタツムリ状の部分を「蝸牛」といいます。三半規管は身体の傾きと回転を関知し、前庭は上昇・下降とこれに関連する加速を感知、蝸牛は耳から入ってきた音(音波)を察知して各々の情報を脳に送ります。
これら器官の内部はリンパ液(体液)で満たされており、細胞壁面には有毛細胞(感知細胞)がびっしりと並んでいます。身体の作動につれて頭部が動き、それに連れて規管内のリンパ液が移動して感知細胞が刺激されると、これらの情報は電波信号となり、前庭神経を経由して脳に送信されます。それによって、生体は瞬時に身体の内外に起きている様々な動きを察知することが出来る、ということです。前に傾けば、転ばないように脚が前に出る。横に傾けば、脚が横に開く。身体が回ると転ばないようにバランスをとる。物が飛んでくると手で防ごうとする、というように、視覚と脳と連動して身体が反応するという機能(反射神経)が備わっています。
耳鳴りのメカニズム
耳鳴りの伝達構造
上図は、内耳をクローズアップしたものです。外耳道を通過すると、その奥に「鼓膜」と呼ばれる太鼓の皮のような膜があります。音はこの膜に当たって振動させて、この動きが鼓膜の奥に接する「耳小骨」に伝わりす。耳小骨は3つの骨の集合体で、具体的には鐙骨(あぶみこつ)・砧骨(きぬたこつ)・槌骨(つちこつ)が組み合わさり、それぞれが筋肉と関節で繋がって、鼓膜の振動を増幅(約30倍)して「蝸牛」に伝えたり、大音声を制御するなどの働きをしています。
耳小骨は滑らかで微細な作動ができるよう、粘膜とリンパ液で保護されていますが、粘液が異常に重くなる(粘度が高まる)と耳小骨の働きが低下して「蝸牛」に伝わる振動も少なくなることから、一般的にいわれる難聴が進行することになります。
原因については、粘性の高まりによる耳小骨の可動不良、または粘液の分泌量が少なくなったことによる耳小骨間の摩擦(消耗)が考えられます。これによって、脚や指の関節がポキポキ鳴るように、耳小骨もゴリゴリガーガーという低温域の関節音が生じ、これが耳鳴りとして感知されています。
また、キーンという高音域の耳鳴りと細い針で刺すような鋭い刺激については、蝸牛から脳の聴覚中枢に連結する前庭神経が収まる「神経鞘」の緩衝剤(ゼラチン質)が枯渇するからだと考えられます。
 
耳鳴りに伴う肩こりと首筋の張り
これら不調の原因も体液、リンパ液に何らかの異常があるからです。何故なら、耳鳴りや難聴の方の多くが頻繁する肩凝りや首筋の張りで苦しんでいる(過去の私も含めて)からです。
近代医学の源流となる古代ギリシア医学やローマ医学では、ヒポクラテス(下絵)が活躍した紀元前5世紀頃から四体液説を主張し「体液のバランスによって健康状態や精神状態が決められ、その調和が崩れると病気になる」と、体液の重要性を説明していました。
耳鳴りの体液説を唱えたヒポクラテス
ヒポクラテスは医師としての倫理や責務などを取りまとめてギリシア神へ宣誓文(ヒポクラテスの誓い)を奏上するなど近代医学の礎となっており、今でも「医学の父」と呼ばれています。このヒポクラテスが言う体液説について、以下でより詳しく検証してみましょう。

体液とは、血液、組織液、胆汁、粘液など生体内に存在する液体の総称で、リンパ液とはリンパ管の中を流れている体液のことを指します。これら無色透明な液体で、身体臓器から廃棄される老廃物や余分な水分、異物、化学物質、ウイルス、癌細胞などを器官や臓器、細胞から回収します。そしてリンパ節という「関門」で細菌や異物などは堰き止められ、白血球、リンパ球(免疫細胞)によって処理された後に静脈に流れ込んで身体を循環し、腎臓から排泄されるという仕組みになっています。

耳鳴りを鎮めるツボ
リンパ節は体内に800ヶ所も有るのですが、その内の10%近くが上図のとおり首から肩に集中しています。リンパ液が汚濁するとリンパ節で滞留してしまい、首筋の張りや肩凝りとなります。
時間が経てば経つほど、内耳には汚れたリンパ液が過剰に溜まり、これが耳小骨や三半規管の機能に影響を与えることで耳鳴り、めまい、難聴、肩凝りを併発することとなります。
緊急の解消法としては、マッサージが効果的です。按摩専門店に行ってリンパ節を中心に揉んで、凝りを取るという治療法がもっとも効果的ですが、もちろんこれは一時的でしかありません。
マッサージしても耳鳴り、凝りや痛み、めまいが続く場合はリンパ節が機能しないということなので、顔や喉にむくみがでてしまいます。これをリンパ浮腫といい、ここまでなると「メニエール病を発症した」と考えても良い段階です。
そのまま放置していると、頭部の内圧が上がることから急に血圧が高くなり、脳梗塞や脳出血で命を落とすこともあります。
このとおり、耳鳴り(めまいを伴う)は絶体絶命の危険を前もって知らせてくれる警鐘、または警告だと考えて間違いありません。
 
体液浄化の決め手は腎臓にある
どうすればリンパの流れが改善できるのか、中国医薬の見地から検証してみましょう。
耳鳴りを腎虚とした中国薬膳
4500年以上も自然医薬を研究する中国では耳鳴り、めまいなどの変調を腎虚と呼んでいます。読んで字の如く「腎臓に貯蔵されるべき栄養成分が空っぽだ」という意味です。
腎臓(副腎)に貯蔵されるべき栄養成分といえば亜鉛、セレン、遊離アミノ酸(アルギニン・オルニチン・カルニチン・シトルリンなど)が代表的ですが、これらの成分は多くの酵素生成やホルモン生成に関与しており、不足すると腎機能障害、免疫力低下、皮膚疾患、不妊、生殖器障害、粘液生成ができない、インスリン生成ができない(亜鉛酵素不活)、多くの部位に変調を生ずる、老化を早めるといったトラブルが顕れると、多くの研究者が発表しています。(亜鉛について詳しく知るにはここをクリック)

腎臓に貯蔵されるべき栄養成分が不足すると、腎機能は低下(慢性腎不全)して、血液・体液の濾過作業が疎かになり、こうして血液中の老廃物が過剰(クレアチニン増加)になります。老廃物が増えすぎるとリンパ節の能力が足らなくなり、汚れたリンパ液はリンパ節の辺りに溜まってしまい、内耳においてはますます凝りがたまって耳鳴りが頻繁に起こってきます。
腎臓に付帯する副腎の働き
中医のいう腎虚について、もう少し掘り下げてみましょう。腎臓に貯蔵されるべき栄養成分(亜鉛+シトルリン・アルギニン・オルニチンなどのアミノ酸類)が「空っぽ」になると腎臓の濾過機能が悪化する問題点の他に、性機能をつかさどり感情をコントロールする役割を担う副腎の機能までも、そろって不調になることが分かってきました。

實成の原因となる副腎の位置
副腎は左右の腎臓の上部に付帯する(上図黄色部分)ピラミット型の小さな臓器です。コレステロールを原料にしてストレスを制御する「コルチゾール」や集中力を高める時などに有効な「ノルアドレナリン」等のホルモンを生成して、分泌する重要な役割を担います。
副腎も腎臓と同じく、貯蔵されるべき栄養成分が不足すると、身体が欲しているホルモンの生成と分泌が止まるので、以下のような、ホルモンバランスを損ねる変調を引き起こします。
・睡眠で疲れがとれなく朝起きるのがつらい
・倦怠感、無気力感、性欲の低下
・ストレスに対処できず不安感がつのる
・月経前症候群(PMS)になる
・月経不順・無月経・激しい生理痛・不妊・流産
・食べなくても肥満、ダイエットしてもリバウンド
・にきび、吹き出ものが鼻や口の周りに出来る
・めまい、耳鳴り、首筋の凝りがひどい>
・思考が定まらない、記憶力低下、情緒不安定
・塩気が欲しい、香辛料が増える
・コーヒー(カフェイン)依存 
子供たちをむしばむ腎虚
子供たちの「いじめ」が、大きな社会問題に発展しています。常識的に考えれば、親や学校の先生が厳しく注意すれば修正できそうですが、よく調べてみると、あまりにも大きな問題点があることが分かってきました。
いじめの頻度
上表は最近30年間の校内暴力事件の発生件数ですが、これが単に子供たち同士のケンカではなく、いじめを含めたキレるという体質が広がっているように思えてなりません。子供たちの精神構造が変化した裏側には、いったい何があるのでしょうか?
その原因を探るべく、最近15年間のお菓子の売れ行きの変化についても調べてみませんか。いじめとお菓子がどう繋がっているのか、大切な問題ですからちょっと横道にそれて下をクリックして専用ページ(未公開)に立ち寄ってみましょう。
腎臓の栄養不足を改善する食材
本項の最後に、どうすれば耳鳴り(めまい)が軽減するかについて方法を考えてみましょう。
体液も血液も同じものですから、基本的には、化学物質を含まない純粋な食品を必要量摂取して、腸内細菌をしっかりと育てること。腸内環境が整うと、体内でイオン化を促進させるミネラルを含有させる食材や発酵食品を食べ、清水を充分に飲むことが必要です。
同時進行として、下項の食事習慣、食事革命、生活習慣を注意しながら腎機能・副腎機能の強化を図ることをお勧めします。

[食事革命のポイント]
・1日に1~2Lの清水(ミネラルイオン水)を飲む ・過剰な塩分摂取を控えて天然塩を使用にする    ・カルシウム(イオン)不足による体調不良    ・カリウム(イオン)過不足にならない食事
・マグネシウム(イオン)不足にならない食事
・週に1度以上は時間をかけて入浴
・スパイス料理で身体を内部から温める
・少し汗ばむ程度の運動量を毎日実行する
・冷房と冷たい飲み物は控える
耳鳴りがしたら食べたい食品
腎臓・副腎を強化するには、次の食品を充分に食べる。
・亜鉛の含有豊富な牡蛎、牛肉赤身
シトルリン(アミノ酸)豊富なスイカ
・ナトリウムを排除するカリウムが豊富な冬瓜
・オルニチン(アミノ酸)豊富なシジミ
・消化吸収と酵素化を促進する蛋白多糖体が豊富な食材
・コリン(アミノ酸)が豊富なタンポポ
・粘液を生成するムチンを豊富に含むレンコン
(人工透析患者はカリウム含有食品を食べれません)
 
体内に入る食品に化学物質を使わないで調理し、上記10項目の生活習慣を身につける。そして排泄をしっかり管理すれば、体液はサラサラに。
それに連れて、いつのまにかごく自然と、耳鳴り、めまい、肩こり、首筋の凝りを忘れてしまうはずです。

次は耳鳴り、めまいの中国医学
編集:FOOD INOVATION ORG.
代表 川浪 雅
お問い合わせ info@coccus.asia 



           


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