にパ・ウイルスを媒介するオオコウモリ

 2021.07.12 デイリー新報
次はニパ・ウイルス/気になる武漢生物研究所の動向
航空機内で生きたコウモリが発見されたことで大騒ぎになったインドでは、今年6月下旬に国立ウイルス研究所が「最も危険とされるニパウイルスがマハーラーシュトラ州のコウモリから発見された」とする内容の論文を、学術誌「感染と公衆衛生ジャーナル」に発表した。
ニパ・ウイルスは、体長最大2メートルのオオコウモリの糞尿がついた果実を人間が食べると感染すると言われ、世界保健機関(WHO)も「世界で最も危険なウイルスの一つ」に位置づけている。また、オランダの医薬品アクセス財団も今年1月下旬にニパ・ウイルスに関して「次のパンデミックのリスクは、死亡率が最大で75%とされるニパ・ウイルスの感染爆発である」と警告を発した。

ニパ・ウイルスの最初の感染例は1999年、マレーシアのニパ川沿いに暮らしていた養豚業者だった。マレーシアではパーム油と木材生産のために数十年にわたり熱帯雨林の伐採が進んでおり、森林破壊で追いやられたオオコウモリの多くが養豚場の近くで群れを作り、この辺りのマンゴーなど果樹を餌にするようになった。彼らへの感染は「オオコウモリの尿が付着したナツメヤシの実を食べた豚と接触した」ことが原因だとされている。
その後、アジアを中心に12カ所で集団感染が確認されているが、インドでも2001年に初めて感染例が報告され、2007年、2018年、2019年にも感染が確認されている。感染症の初期症状は風邪に似ており、発熱や頭痛、筋肉痛、嘔吐、喉の痛みなどが生じる。重症化すると急性呼吸不全を起こし、2~3日で危篤状態になると言われている。無症状者から感染が広がる可能性も指摘されている。

インドで確認されたニパ・ウイルスについて、ロシアのガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センターのアルトシュテイン氏は「現時点で大流行する可能性は低い」としているが、過去の最も大規模な流行は1999年で250人が感染している。
中国ではニパウイルスの感染例は報告されていないが、一昨年12月に「既存のコロナウイルスの感染力を高めて新型コロナウイルスを作ったとの疑いが強まっている武漢ウイルス研究所技術員」が、シンガポールで開催されたニパ・ウイルスに関する会合に出席している。その意図は定かではないが、感染力が飛躍的に高まったスーパー・ニパウイルスが出現しないことを祈るばかりである。 



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