冬虫夏草を進化させた薬用蟻
このページでは、薬用蟻と冬虫夏草の関係を解き明かしてみましょう。NHKで放映され、大ヒットした韓流薬膳ドラマ「チャングムの誓い」では、身体の弱い皇太后の誕生日に最高の薬膳を作るように命じられたチャングムが、冬虫夏草の甘酢料理と薬用蟻のお酒でおもてなしを考えるというストーリーが注目を集めました。冬虫夏草とは4500年にわたって「漢方の頂」と称され、中国歴代の皇帝が探しもとめてきた昆虫に寄生する自然界最強のキノコ。薬用蟻といえば体重の300倍も持ち上げて運ぶという、驚異の滋養強壮食材です。この2つは「いにしえの昔」から貴重で希少な薬膳として、あまりにも有名でした。
そしてチャングムの時代から500年を経て、大連渓流国際貿易有限公司の開発によって、冬虫夏草と薬用蟻が一つに合体した世界に類を見ない「蟻の冬虫夏草」が誕生(特許出願)したのです。そして、日本の清らかな環境のもとで安全安心をモットーにした大規模生産が始まりました。

        

歴代皇帝への献上品だった冬虫夏草が世界に広まったのは1993年、ドイツで開催された陸上競技世界選手権の時です。13種目中、11個の金メダルを獲得した「馬軍団」と呼ばれる中国女子選手団が、驚異的な強さの秘密を「冬虫夏草を食べながら練習した」と世界のメディアを前に語ったからです。大産地の中国青海省やチベットには、世界中から買付けが殺到して乱獲につぐ乱獲、さらに酸性雨など環境汚染が追い打ちをかけて、今ではほぼ絶滅状態となっています。
本場中国の漢方薬市場では価格の高騰が著しく、コウモリガから発芽した品種ならばキロ当たり500万〜800万円という高値が付いて、きわめて入手が困難になっています。そんな状況でも需要は増え続けるのですから、次第にニセモノが出回るようになってきました。普通の芋虫に注射器で冬虫夏草の菌株を打ち込んだものはまだ許せるとしても、なかには小麦粉の粘着成分であるグルテンと昆虫の粉を混ぜ固めて焼き色を付けたものなど、偽物づくり大国ならではの商品が次々と作られ、観光地や空港の土産物売り場に並んでいます。そして歴史に名高い冬虫夏草が、今では「臭い、汚い、効かない」などの悪評が聞こえて、高い評価も途絶えようとしています。

蟻の冬虫夏草の誕生
蟻の冬虫夏草とは、こうした背景を受けて開発された人工栽培の冬虫夏草です。コウモリガに代わる培地の栄養材に薬用蟻として名高い擬黒多刺蟻を選び、その環境から冬虫夏草を発芽させるという新しい培養技術によって、今まで不可能だった即効性のある冬虫夏草の大量栽培が可能となりました。中国やチベットの秘境でしか見られなかった神秘のキノコが日本の農家のハウスで、しかも、冷暖房も複雑な制御装置もなく栽培できるのです。あの神秘のキノコに自重の300倍を持ち挙げるという薬用蟻の恐るべきパワーをプラスして、冬虫夏草がさらなる進化を続けています。

        

擬黒多刺蟻の驚異的な特性
擬黒多刺蟻は自重の300倍におよぶ荷物を運ぶことから、棲息する地方では「馬蟻」とか「大力士」と呼ばれており、中国政府衛生部が1500種類にのぼる蟻の中で、唯一薬用を認定している貴重な種類です。全身が針のような毛で覆われていることが名前の由来ですが、女王蟻は30年、働き蟻でも3年以上は生き続けるという生命力も含めて、中医薬理学者の研究の的になっています。そして、19種におよぶアミノ酸と、ヨウ素、滋亜鉛・セレンなどのミネラルを補酵素(コエンザイム)化して含有、その他にも、薬用昆虫ならではの稀少な金属を含有していると、その一部が公表されました。
副作用のない滋養強壮の妙薬として人気が高く、養殖蟻なら街の健保店でキロ当たり400人民元(6500円)くらいの価格で買い求めることが出来ます。しかし天然ものの需要は高まる一方で、特に大きな火山地帯に棲息している擬黒多刺蟻には、身体を強くする稀少金属が含有されていることがわかって、冬虫夏草と同じく入手が困難になっています。擬黒多刺蟻のエキスが高配合の精力剤「蟻力神」も人気沸騰で、薬局に並んでいるものは日本人観光客が競って買い求めていました。

蟻から冬虫夏草の理由
蟻から冬虫夏草の発想は大連渓流国際貿易有限公司の董事長の永年にわたるキノコ指導体験から生まれてきました。それは中国の山奥にキノコ菌床(培養基)の作り方と栽培の方法を教えに行ったときのことでした。そこの山の長老が「この蟻を白酒に浸して飲むと身体によい」といってビニール袋に入れた白くカビた蟻を渡してくれたのです。それを日本に持ち帰ってホワイトリカーにつけ込んで1ヶ月。盃一杯ほど試飲をした筆者は、その夜、肝臓ガンで亡くなった親父様が元気に話しかけてくる不思議な夢をみたといいます。

こうしてこの薬用蟻に開発の糸口をつかんでから、決め手となる天然もの擬黒多刺蟻の産地選びから取り組みました。豊かな栄養成分の有る無しだけでなく、強壮長寿を目指している方々に試食してもらった体験談に注目しながら、力価の高い蟻を選定しました。そして次に行うのは、蟻の自然免疫力(真菌侵入に対抗しようとする蟻が持っている自然の力)を高めるための工程(ここは秘密)です。こうして創り出した驚異の蟻をベースに神秘のキノコを合体させてゆくわけですが、この作業は、自然界に冬虫夏草が発生しうる希有なる環境の栄養成分を調査したうえで、擬黒多刺蟻から抽出したエキスと薬草エキスなど18種類を調合した培養液の精製から始めます。そしてこの中に低温で抽出した擬黒多刺蟻エキスを添加して、冬虫夏草の菌株を接種してゆきます。さらにこの液中で、菌糸の成長速度が最大になるよう、調合を入念に変えながら順化培養するのですが、これが成功した段階で、登山で云いうなら9合目に到達です。
菌糸が強力に生長すると、今度は栄養基材(培養基)を作ります。擬黒多刺蟻エキスなど6種類の食材を組み合わせた栄養塊をカップ内に構成し、高圧高温殺菌を施したのちに前工程で培養した菌糸を植え付け、日本の気候に合わせて冷房も暖房も使わない自然条件で生育収穫できるように発芽時期を整えます。自然免疫力を極限まで高めた擬黒多刺蟻の成分と、昆虫攻撃性を高めた冬虫夏草の成分を合体させることで、栽培もの特有の虚弱さを解消しました。この方法(特許出願)によって、大自然で育った冬虫夏草をはるかに凌ぐ高い力価を秘めた冬虫夏草の完成をみたのです。


サプリメント辞典を参照
神秘のキノコ、善玉菌を活性化させる最善の菌について説明する最後の項となりましたが、ここでは冬虫夏草の作用について、医学者による専門的な解明が如何なるものか参考にしてみましょう。平凡社サプリメント事典・第2版324ページを抜粋し、一語一句そのままに記述してみました。
「有効成分として、各種の多糖体が存在する。例えば多糖体の副腎皮質ホルモンの一種の産生を促すというデータがある。これまでに、各種の基礎研究が行われており、冬虫夏草が、免疫系や内分泌系、心臓循環器系、神経系、腎臓泌尿器系に好影響を与えることが示されてきた。具体的には、冬虫夏草の免疫賦活作用としてNK(ナチュラルキラー細胞)細胞の活性化、単球やヘルパーTリンパ球活性化、インターフェロンやインターロイキン1などの増加が示された。また抗ガン作用として肺ガン細胞や、悪性黒色腫細胞に対する効果が報告された。さらに抗糖尿病作用、コレステロール低下作用、肝障害や腎臓障害の改善作用などが報告されている」